「たまる」を拾った当初はとにかく大変だった。
猫という生き物に触れたことがなかった上に、
衰弱していたため、初めから難題ばかり。
猫風邪がひどく、目薬などの投薬
回虫も当然見つかる。
皮膚炎になり、頭部はハゲだらけしかし治療よりも猫の習性に驚く毎日だった。
一瞬でカーテンレールなどの高所へ行くことができる。
キッチンやテーブル、危険な場所も平気で上る。
ものすごい速さで走り回る。
そして噛みまくる。
噛み癖はなかなか治らず、私の腕は無数の線が入っていた。
傷口にカラシを塗ってみたこともあったが、無駄だった。
あのころはよく泣かされたな。
初めてゴロゴロを聞いたときは感動した。
それがゴロゴロだと気付かずに夫に教えてもらったのだが。
噛みまくって暴れまくっていた子がある日突然ゴロゴロ。
嬉しかったのを覚えている。
マザーボールや毛布にふみふみ
私の枕を占領して寝息を立てて寝る
だっこをせがむ
ボールをくわえてきて、何度も投げさせられる
「うん!?」としゃべる
お出迎えを熱烈にやってくれる
強めのすりすりをしてくる
面白くて愛しいところがどんどんと増えていった。
1年後に「つきみ」を保護したころには噛み癖もだいぶ収まり、
「たまる」への愛情は深すぎるほどになっていた。
活発な猫だったため、大変なことも数えきれないほどあったが、
私は完全に「たまる」に依存し、猫が全ての生活になってしまった。
そんな私は「たまる」の死を受け入れることができなかった。
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